園長先生のコラム

コラム 【 2021年10月号 】 「 引退してゆく方々 」

 新型コロナ感染拡大防止の緊急事態宣言が9月30日をもって解除される方向が決まりました。
待ちに待った宣言解除なのですが手放しで喜ぶことが出来ない気持ちと通常の生活がどんなものであったのかと考えるほど長かった気がします。
 そして、感染防止の中オリンピックやパラリンピックを開催してたった1年で総理大臣を辞して去ってゆく菅義偉自民党総裁がいます。
実際にはお目にかかってはいないけれどメディアを通じてよく毎日のようにお会いしている方々とのお別れというものはときとしてなぜか寂しい感が否めません。お亡くなりになってこの世を去ってしまうのはまた別な感情で寂しい限りですが、この世におられるのに表舞台から去ってしまって中々公にはもう現れないかと思うと別な感情が生まれてくるのは僕だけでしょうか。そのお方が高く評価されているか或いは評判があまりよくなくても結果的に去ってゆく姿に一抹の寂しさを感じざるを得ません。
 大相撲の横綱白鳳関も引退を表明されました。
この数年休場ばかりまた横綱としての品格を問われながらも優勝回数や横綱在位期間などとびぬけているお相撲さんでした。好き嫌いはともかく日本文化を理解していないにも関わらずその日本文化の象徴たる角界の頂点で相撲人気を引っ張ってきた大きな存在であった感も否めません。

 引退して行く方々の中でどうしても僕は惜しまれる人がいます。
その人はドイツの首相のアンゲラ・ドロテア・メルケルさんです。
2005年就任から現在まで実に16年もの間ドイツ連邦共和国首相を務められました。ドイツ史上初めての女性首相でした。彼女はドイツの宰相としての活躍のみならず外交にもずば抜けた力を感じました。
特に僕が尊敬するのは多くの難民のドイツへの移入を認めたことです。
「もしわたしたちが難民を受け入れなかったとしたらキリスト教徒と言えるのでしょうか」と言われたと聞きます。現実にキリスト教に対しても友好的とは言い難いイスラム教徒の難民に対しての言葉です。理屈ではわかっていても中々行動に移すには勇気というか彼女の信仰信条なのでしょうか。尊敬に値すると思います。コロナの感染防止のため国民的お祭りであるクリスマスの期間を自粛してくださいとのメッセージを「ごめんなさい」と国民に哀願している姿に僕は国のリーダーとしての責任感の現れと映りました。
 去りゆく人々に感謝をもって幸多かれと祈る思いです。

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