園長先生のコラム

コラム 【 2019年2月号 】 「 ともだちは大切です 」

昨年は大きな台風や大雨が多くて、日本中あちこち被害を受けました。
僕の実家は和歌山市にあって両親も1995年5月15日に父、2001年2月26日に母を天国に送ってから10年ほど京都から或いは福井から時々庭の木の剪定や家の様子を見に行かなくてはならず不便を感じていました。
ちょうど津に越してから1年たった頃2012年だったでしょうか、「先生のおうちに住まわせてもらえないでしょうか」と依頼がありました。
それは、30年前の大切な友人のお嬢さんでした。友人はすでに20年前に天国に逝ってしまったので彼女は住むところにも困っていました。
人は自分の居場所のないほど辛いことはありません。
「どうぞすべての家具や電化製品そのまま使ったらいいよ」ということで気が付くともう7年経っていました。ところが昨年の台風で2階の大屋根が壊れ雨漏りしてしまったのです。
あの台風ものすごい風だったようで和歌山市内の停電の復旧は相当長くかかったそうです。それより大変だったのはその後の各家の修繕がどこの家も大工さんが足りなくて近所で未だにブルーシートで屋根を覆っている家も多々あります。
神社仏閣も例外ではありません。手つかずの状態で見るも無残な姿をさらしているのが現状です。
「修理がいつになるか、どれほどの金額になるか、修理してもまた壊れない保証はできない」と見積もりに来てくれた地元の大工さんの異口同音の意見でした。
「どうしよう?どうしたら先生いいですか?」メールだけでなく手書きの手紙が11月ごろに届きました。和歌山の知り合いに聞いても意見は決まっては同じ「わからない」です。
すがるような思いで日頃聖ヤコブ幼稚園に出入りする業者さんで友人のH社長さんに相談しました。そうしたら年末の御用納めの終わったあとに奈良の大工さんをつれて和歌山まで来てくれました。早速に年明け25日に大阪からリフト車を運転して修理に来てくれました。助っ人にまた友人の友人(以前から話は聞いていましたが初対面です)が愛媛県の松山市から来てくれました。
「困ったときはお互い様」とはよく言うものの自分の困ったときにしか使わない言葉であってはいけないとしみじみ思いました。
彼らはその仕事だけに奈良から、そして松山から来てくれたのでした。
久しぶりに数時間空を仰いで仕事ぶりを眺めていました。
空が青く風が冷たかったけれど世の中で本当に大切なものが何かを考えることが出来た日でした。

幼稚園の園児たちことに年長黄組の皆さんは2ヶ月足らずで卒園です。
幼稚園生活最後の学期になります。
どうぞこの残り少ない園生活でかけがえのない友人をたくさん作ってください。
そして人生においても「ともだちは宝物」と思って生きて欲しいと願っています。

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・・ 聖句と今月のみことば ・・

「喜ぶ人と共に喜び、泣く人と共に泣きなさい。」
~ 【新共同訳】ローマの信徒への手紙12章15節 ~

ローマ帝国は当時の世界(地中海世界を中心に)を制覇していた強大な国でした。
そしてその国がキリスト教を迫害していたのです。ところがパウロはローマの市民権を持っていました。ローマの市民権を持っている人にはローマ帝国とはいえうかつに手出しはできません。ですからある意味パウロは他の使徒たちとは違った伝道をしたのです。それは、地中海世界を中心に伝道旅行をして大きな町々に教会を設立していったのです。大きな町例えばコリントやガラテヤ、エフェソの教会に問題が発生したらその解決のために手紙を書いたようです。ところがパウロがローマの信徒へ手紙を書きましたがまるでそれは論文のようです。本当に神学的にも難解で本腰を入れてかいたようですね。
この聖句も僕はよく引用します。
泣く人と共にはよく泣くことが出来ますが、本当の友人は自分のことのように喜べるか難しいものです。
つい嫉妬心が心の中にできてしまうからですかね。

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