園長先生のコラム

コラム 【 2018年7月号 】 「 お祈りのこと 」

主は来てそこに立たれ、これまでと同じように、サムエルを呼ばれた。
「サムエルよ。」サムエルは答えた。
「どうぞお話しください。僕は聞いております。」
旧約聖書 サムエル記上3章10節

今月の聖句は、イエスさまから「主の祈り」をお弟子さんたちに与えられた箇所でした。
ところで、「お祈り」とはどのようなものなのでしょうか。
祈りとは「迫りくる未来に対する信仰的決断である」と、神学生時代に礼拝学の教授が教えてくれたのを思い出します。
仏教の考え方は輪廻転生で、生から死、そしてまた生へと、くるくる回る円に例えられます。
それに対し、キリスト教の考え方は、生があって死があり、すべてには始まりがあり、そして終わりがあるという、極めて直線的な考え方と言えます。
私たちはみな、母から生まれ出て両親や多くの人々に愛され、育てられて成長して行きます。昨日まで元気に生きてきた、そして今も生きているのだから、明日も生きているだろうと考えています。しかし、実際は明日のことはわかりません。 そこで、祈るわけです。
「あしたも元気に命を輝かせる日でありますように」、と。
この祈りが、「迫りくる未来に対する信仰的決断」と言えるのでしょう。
キリスト教の祈りは呼びかけから始まります。「神さま」「イエスさま」「主よ」…色々な呼び名がありますが、まずは呼びかけ、そして祈りの内容に大切な要素は、「感謝」と「神さまへの賛美」、そして「自分の罪の懺悔」です。 ご利益宗教という言葉がありますが、「キリスト教も信じればご利益がありますか?」と、聞く方が時々いらっしゃいます。何をもってご利益かという定義によりますが、少なくとも家内安全、商売繁盛、学業成就というような、極めてこの世的かつ打算的な価値観のご利益を求めても、その願いが必ずしも叶うとは限りません。 祈りの中に「祈願」「お願い」と言うものが入っても一向にかまわないのですが、神さま側にしては、その願いが神さまのみ旨(ご意志)の適うものかどうかが問題なのです。私たちが苦悩するのはその点なのです。
「どうしてこの世には、理不尽なことばかり起こるのだろうか、本当に神さまが存在しているのだったら、悪い者を懲らしめ、良い者で満たしてくれたらいいのに」と考えてしまうのです。神さまのみ旨(ご意志)が分からないから、苦しむのです。
映画化された遠藤周作の「沈黙」という小説があります。迫害の時代です。司祭が何度問い続けても、神さまの沈黙は続きます。本当に神さまに祈らなければならないのは「神さま、僕(しもべ)が話すことを聴いてください」、ではなく「僕(しもべ)は、聴きます。神さまお話ください」でなければいけないのではないでしょうか。

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・・ 年主題聖句 ・・

「愛する者たち、神がこのようにわたしたちを愛されたのですから、わたしたちも互いに愛し合うべきです。」
~ ヨハネの手紙Ⅰ 4章11節 ~

聖書の愛という言葉には2種類あります。「神の愛」「人間の愛」前者はアガペー(ギリシャ語)、後者をエロス(ギリシャ語)神の愛は見返りを求めない、只々一方的に与え続ける愛を指します。後者の人間の愛も決して悪い愛ではないのですが、見返りを求めてしまう人間らしさを持った愛です。だから失恋したときなど心に痛手を受けますよね。神の愛は人間の中にも存在します。わが子を思う親の愛などは見返りを求めていません。愛された子どもは人を愛することができます。私たち人間はすでに神さまから愛されているのですから、互いに愛し合うことができるはず、とヨハネは言っているのです。

・・ 聖句と今月のみことば ・・

「主よ、ヨハネが弟子たちに教えたように、わたしたちにも祈りを教えてください。」
~ ルカによる福音書11章1節 ~

イエスさまが「祈るときはこのように祈りなさい」と「主の祈り」を12弟子に教えられた有名な箇所です。幼稚園では主の祈りを毎日みんなで唱えます。
天(てん)におられるわたしたちの父(ちち)よ、み名(な)が聖(せい)とされますように。み国(くに)が来ます( き)ように。みこころが天(てん)に行われる(おこな)とおり地(ち)にも行われます(おこな)ように。わたしたちの日ごと(ひ)の糧(かて)を今日(きょう)もお与え(  あた)ください。わたしたちの罪(つみ)をおゆるし下さい(くだ)。わたしたちも人(ひと)をゆるします。わたしたちを誘惑(ゆうわく)におちいらせず、悪(あく)からお救い(  すく)ください。
国(くに)と力(ちから)と栄光(えいこう)は、永遠(えいえん)にあなたのものです。 アーメン

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