園長先生のコラム

♪ コラム 【 2013年7月号 】 「 命がけで助ける 」

6月21日小型ヨットで太平洋横断中のニュースキャスターの辛坊治郎さんと全盲のセーラー岩本光弘さんが何とクジラ(たぶんマッコウクジラの群れ)に衝突して、船体放棄(大変な船長としては最終の決断)して遭難してしまいました。

ところで、クジラと衝突というのはよくある話です。
昨年4月22日鹿児島の佐多岬沖で高速船トッピー1号」140tが時速80㎞で走行中、クジラであろう生物と衝突して乗員乗客5人がけがをした事故が起こりました。自力での航行は不能となって巡視艇で曳航して帰港する状況でした。
ぶつかったクジラでしょうか、次の日死骸で目視できたそうです。クジラらしきものとの衝突は以前にも起きていたそうです。同じ「トッピー4号」がやはり佐多岬北西約3㎞沖で2006年4月9日にクジラらしきものと衝突49人も重軽傷者が出ています。

なぜ、ぶつかってしまうのか理由は色々あるようです。
まず、クジラは普通の船のレーダーでは検知できません。子クジラは頻繁な息継ぎをするので海面近くゆっくり泳ぐため、高速船をよけきれないからかも知れません。クジラは軍隊の潜水艦ではないので海上の安全を確かめたうえで浮上することはなく、突然浮上するため船と衝突しやすいのかも知れません。絶滅危惧種に数えられているタイセイヨウセミクジラの死亡する最大原因が船との衝突だそうです。そのため、このクジラとの衝突防止専用アプリがリリースされているくらいです。

今回の辛坊さんのヨット、小名浜港を出港して、5日すでに1200㎞離れていました。ヘリコプターでは飛べないほどの距離みたいですね。3mの波でも着水可能な海上自衛隊US2が大活躍でした。(今度の事故が無ければ僕は知らなかった)
それにしてもすごい救難飛行艇を持っているというよりこの飛行艇を開発した日本の技術のすばらしさと何より海上自衛隊と海上保安庁の連携した勇気ある救出行動に感動しました。
助かった直後の記者会見で辛坊さんが「2人の命を助けるために、たくさんの方々が命をかけて救出してくれたことに感謝でいっぱいです」「日本国民でよかった」と感想を述べていたのが印象的です。
「お名前を教えてください」との言葉に隊員「私たちはチームで行動していますから」「では、チーム名だけでも」と言うと肩のワッペン剥がしてくれたらしいです。
なんてドラマチックなんでしょう。カッコいいですよね。
「訓練に泣き、実動に笑う」がモットーらしい。すばらしいですね。

聖書の中に有名な「見失った羊」のたとえ話を思い浮かべます。
「あなたがたの中に、百匹の羊を持っている人がいて、その一匹を見失ったとすれば、九十九匹を野原に残して、見失った一匹を見つけ出すまで捜し回らないだろうか。そして、見つけたら、喜んでその羊を担いで、家に帰り、友達や近所の人々を呼び集めて、『見失った羊を見つけたので、一緒に喜んでください』と言うであろう。」

このたとえ話のポイントは、自分をどちらに置くかなのです。
「迷った羊」であるか「迷っていない99匹の羊」なのかです。
「迷った羊」が自分とすればどんな危険を冒しても探してくれる愛に包まれていることに感謝できるのです。

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・・ 聖句と今月のみことば ・・

「あなたがたは神に愛されている子どもです。」
新共同訳 エフェソの信徒の手紙5章1節

このみ言葉には、後があります。
正確には「5:1 あなたがたは神に愛されている子供ですから、神に倣う者となりなさい。」です。
常に神さまは「~すれば、~してあげる」ということはありません。先に「あなた方はすでに神さまから愛されている子どもです。それは、「どんなに悪いことをしていても神さまから愛されている子どもなのです。だから、悪いことはやめて神さまの喜ばれる生き方をしましょう。」ということなのです。
私たちが努力で神さまに近づくのではなく神さまから一方的な愛で包まれているということなのです。

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